昨今、多くの企業がTOEICを採用しており就職・転職に有利になるとされていて、TOEIC高得点獲得のために様々な勉強方法があります。
そんな勉強法の1つ、ヨーロッパで第二外国語を習得するために重視されている「ディクテーション」という学習法をご存じでしょうか?
先日、シャドーイングのトレーニングをすることでTOEICのリスニングおよびリーディングのスキルを向上させることができると紹介しましたが、ディクテーションも構造は似ていて、シャドーイングとディクテーションの違いは『声に出すか』『書き出すか』です。
そのため、この2つは同じようにTOEICのスコアをあげるのに効果があるとされています。
今回は、TOEIC900点・在米歴17年・翻訳家の筆者が、ディクテーションとTOEIC高得点の関係に焦点を当てて『ディクテーションとはなにか』『なぜTOEIC高得点獲得に効果があるのか』そして、おすすめの学習方法などを紹介したいと思います。
- ディクテーションとは?
- ディクテーションがTOEICに効果的な理由
- 具体的な勉強方法
- ディクテーションおすすめ学習法
✓この記事の執筆者と信頼性
✓TOEIC900点、TOEFL 650点
✓ロサンゼルス在住、翻訳家、メディアライター
在米歴17年。英語を使って仕事をしている筆者が経験をもとに解説していきます。 >>>執筆者リスト
【TOEICにディクテーションは効果ある?】TOEIC900点の筆者が徹底解説
ディクテーションとは?
✓ディクテーション→音源を聞いて文字に起こす
ディクトーションとは、簡単に言えば『英語の文字起こし』と思えばいいと思います。
『音源を聞く』という点では、先日紹介したシャドーイングのトレーニング法と同じです。
シャドーイングの場合はアウトプットが「スピーキング」となり、発音やイントネーションも矯正できるというメリットがあります。
一方、ディクテーションは音源を聞いた後のアウトプットが「ライティング」になり、英単語の綴りや英文法をより正しく理解できるというメリットがあります。
そして「聞く」というインプットと「書く」というアウトプットの組み合わせによって、英語の理解力を高めます。
全体的な英語スキルの向上に役立つことから、今、最も注目されている英語学習法の1つです。
ディクテーションがTOEICに効果的な理由
では、具体的にどのように英語スキルが向上し、特にTOEIC高得点獲得に効果的と言われる理由を具体的に見ていきましょう。
- ネイティブの音源を正確に聞き取れるようになる→リスニングスキルがアップ
- スペルや英文法をしっかり把握できるようになる→リーディングスキルがアップ
- リスニングとライティングを併用した学習方法→集中力がアップ
ネイティブレベルの英語が理解できる
ディクテーションのトレーニングは、全体的な英語力がアップすると言われていますが、なかでも『ひたすら聞く』という点でリスニングスキルの大幅な上達が期待できます。
TOEICテストのリスニングパートは45分間で100問解答します。
設問と設問の間の解答時間が決まっているので、いかに『瞬時に』『正確に』聞き取れるかがリスニングスコアの鍵となります。
そして、リスニングの配点は全体の約半分になるので、リスニングをどれだけ満点に近づけるかがTOEIC高得点獲得の重要なポイントになってきます。
とにかく音源に集中して、「何となく」わかる程度ではなく、「はっきり」わかるようになるまでディクテーションのトレーニングを積む事で、リスニング力をかなり強化できます。
スペルや英文法をしっかり把握できる
もし、聞こえてきた音源の単語のスペルがわからなければ、書き出すことはできません。
もし、その単語を知らなければ何の言葉なのかもわかりません。
ディクテーションは『音源を聞き』『文字におこす』トレーニングです。
『音源を聞き』『文字おこし』をすればするほど、英単語を覚えることができ、スペルも正確に覚えることができ、TOEICに欠かせない語彙力がかなり高まります。
また、『書くこと』で日本人がやりがちな冠詞(the, a, anなど)のつけ忘れ、形容詞の間違った使い方(例:confused / confusing、bored / boring)、形容詞と名詞の使いわけ(例:allergy / allergic、violence / violent)など、書いた後に自分がどんな間違いをしているかを把握することができます。
こうしたプロセスは英文法を正しく理解する上でとても重要で、もっと言えばどうして間違えたのかまで突き止めることで、ディクテーションでのさらなるリーディングスキル効果が得られます。
またディクテーションで正しい英文法を使って文章を組み立てていくことは、必然的に全体の英語力につながり、難易度の高い長文問題にかけるリーディングのスピードアップにもつながります。
リスニングとライティングで集中力アップ
シャドーイングもそうですが、このアウトプット効果というものは英語力の向上にすごく役立つ効果で、やはり「ただ聞くだけ」「ただ書くだけ」の集中力と、「聞きながら書く」という集中力には大きな差があります。
ネイティブの英語をしっかり聞きながら、しっかり書き出そうとすることで、TOEICに必須とされる集中力が身につきます。
一つ一つの単語に集中するのではなく、全体の意味に集中できるようになれば、瞬時の理解力や速読力も養われ、TOEICのリスニングパートもリーディングパートの高得点にもつながるでしょう。
ディクテーションの具体的な学習のやり方
ではディクテーションの具体的なやり方を紹介したいと思います。
前回トピックに上がったシャドーイングと同じ要領で、とにかく「聞きながら書く」を前提に挑戦するだけです。
もちろん言っているほど簡単ではありませんが、とにかく最初は難しくても、トレーニングを続けるうちに耳も慣れていき、また必然的に語彙力も上がっていくので、少しずつやりがいが出てきます。
レベルに合わせたいくつかのやり方があります。
- 穴埋め形式ディクテーション
- 全文形式ディクテーション
- トップダウン・ディクテーション
- ボトムダウン・ディクテーション
穴埋め形式ディクテーション
とにかく慣れていないのであればまずは穴埋め形式から始めてみるのもいいかもしれません。
テキストの一部分が空欄になっていて、その部分を『聞き取って書き出していく』トレーニングです。
文章全体ではなく埋める箇所だけに集中してしまうので限られた効果しか期待できませんが、初心者や英語に自信のない人には、ネイティブ英語のリスニングに慣れるという意味で、穴埋め形式から始めてみるのも賢いステップです。
最初からつまずいてしまったら、もうやりたくないと思ってしまいますよね。
全文形式ディクテーション
穴埋め形式のディクテーションに慣れたら、次はセンテンス全体を書き出します。
文章の無いまっさらな状態から始まります。
穴埋め形式で見ていた文章のヒントとなるものが全くない状態ですね。
完璧に書き出すのは難しいかもしれませんが、全神経を集中させて、とにかく一語一句正確に書き出すことに挑戦します。
もちろん間違えます!書き出せないところもたくさんあります!でも間違えることでさらに身になるのが勉強です。
間違えた箇所をよく確認し、自分の弱点を知ることもTOEIC高得点獲得への大切なプロセスになりますよ。
トップダウン・ディクテーション
トップダウン・ディクテーションは、最初に音源の内容を理解した上で書き出す比較的簡単なやり方です。
まずはディクテーションを始める前に、リスニングで流れる英文の内容を勉強します。
知らない単語があれば調べ、わからない文法があれば見直し、前もって音源の英語を理解しておくことがキーポイントになります。
リスニングの内容が自分の得意分野や興味のある事柄であれば、理解はしやすいですよね。
前もって勉強しておけば、書き取りもしやすくなります。
事前準備によって語彙力も増え、文の構造もしっかり理解しているので、何も準備をしていない状態から始めるよりも達成感が得られてやる気につながります。
穴埋め形式が終わった後は、いきなり難易度を上げるのではなく、このトップダウン・ディクテーションを使った全文形式のディクテーションに挑戦してから、最終的に全文形式に進むのがオススメです。
もちろんディクテーションが終わったら間違えた箇所を必ずチェックしましょう。
ボトムアップ・ディクテーション
ディクテーションの中で、一番難しくて苦労するのがこのボトムアップ・ディクテーションです。
トップダウン・ディクテーションとは違って事前準備がありません。
知らない単語やわからない文法が出てくることも多いでしょう。
文章が長くなればなるほど、一語一句を正確に書き出すのは至難の技かもしれません。
しかし慣れるまで続けることが大切で、聞き取った英文を口に出してみると忘れにくくなるので試してみてください。
レベルや文章の長さにもよりますが、1回目のリスニングでは一文ずつではなく、全体の内容を把握するためにも文章全体を聞いてみることをおすすめします。
教材によってはかなり長い場合もあったり、逆に1文ずつだったりもしますが、そういった場合は臨機応援に自己のレベルに合わせて区切っていきましょう。
もし音源の言い回しを覚えていなくても、内容を理解している場合は、自分の言葉で書き出すこと(リフレーズ)も大切です。
これもまた違った角度から英語脳を身につけるプロセスです。
スペルがわからない箇所は一旦カタカナにしてもいいですし、全くわからないところは空欄にしておいて大丈夫です。
そして、次に2回目のリスニングを行います。
一文ずつ音源を停止して、しっかり書き出せなかった箇所を集中してやってみてください。
1回目よりかは書き出せると思います。そしてその後に間違いを確認することになるのですが、まずは解答を見ないこともテクニックの一つです。
『英文法に間違いはないか』『単語にミススペルはないか』など自分で自分の間違いに気づくことも大切です。
そのあとで解答を見てチェックしていきます。
『なぜ自分が間違えたのか』をしっかり考えるようにしましょう。
例えば、ディクテーションで書き出せなかったのは、
- そもそも単語自体を知らなかった
- 単語は知っていたが、うる覚えもしくはスペルが曖昧だった
- 単語は知っていたが、発音やアクセントを間違えて覚えていた
- 単語は知っていたが、早すぎて知っている単語に聞こえなかった
- 単語は知っていたが、2つの単語同士がつながって発音され、知っている単語に聞こえなかった
- 単語だけでなく、その前からの英文が理解できていなかった
書き出せなかった理由はほとんどがこういったもので、自分の苦手としている部分が明確になりその対策ができます。
特に抜けがちな冠詞や前置詞などは前後の単語とくっつけて発音されることも多く、簡単な言葉でもいざ書き出すとなると抜けてしまうことも多いです。
ディクテーションに限らず、どんな学習においても間違えた理由探しを怠らないのがポイントです。
ここまで徹底したディクテーションを行えば、TOEICのリスニングおよびリーディングに効果的で、高得点獲得が期待できるのは一目瞭然ですね。
『オンラインでなく直接レッスンを受けたい!』というあなたには大手英会話教室AEONをおすすめします。全国にありますので公式サイトからご自宅に近い教室の無料体験レッスンを受けてみてくださいね!
今なら、月謝2ヶ月分半額キャンペーン中です!(条件がありますので、詳しくは公式サイトをチェック)
体験談。私のディクテーション学習法。おすすめな方法(参考書・アプリ・英語サービスなど)
アメリカに在住して20年近くになりますが、今でも英語の勉強は続けています。
翻訳家という職業柄、いろんな分野での語彙力が必要となってきます。
単に単語やフレーズを覚えるだけでなく、ディクテーションは翻訳家としても非常に効率の良い学習方法だと思っています。
ちなみに私は書き出すときはタイピング派です。
実際に手で書いたほうが覚えやすいという方も多く、よく見かけるディクテーション動画でも紙とペンを使っていますが、私は早く書き出せるという理由でいつもタイプしています。
勉強する時間や書き出す量にもよるのですが、ディクテーションの更なるレベルアップを目指したい方には、タイピングを活用して長めのトレーニングにもチャレンジしてみてください。
さて、おすすめのディクテーション学習法は大きく4つです
- 参考書・教材
- アプリを活用
- 無料オーディオブック
- 無料ニュース動画
各項目の特におすすめできるものを紹介していきます。
TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のセンテンス (TOEIC TEST 特急シリーズ)
参考書・教材の中でもっともおすすめできるものを1つ紹介します。
TOEIC対策の参考書はたくさん販売されていますが、なかでもTEX加藤氏の「金のセンテンス」はTOEIC高得点獲得を目指す方にはおすすめの本です。
3種類ある音声は無料でダウンロードでき、英文のみを読み上げる「英語版」の音声を選べばディクテーションができるので、TOEIC高得点獲得には欠かせない参考書です。
もちろん、音源のテキストがついているのでTOEICに特化したディクテーションを本格的にできるのが嬉しいですね。
Amazonなどで1,000円前後で簡単に購入できます。
非常にお手軽なので、まずは手に入れてディクテーションとはどんなものかチェックしてみてはいかがでしょうか。
スタディサプリEnglish
スマホが普及した今、『隙間時間をどれだけ有効活用できるか』はTOEIC学習の重要なポイントといえます。
その場合、『効果の出るスマホアプリの選ぶ事』がキーポイントになります。
スマホアプリの中でもおすすめなのが『スタディサプリ』です。
スタディサプリEnglishには、英語学習に効果的とされるシャドーイング・ディクテーション機能の両方が付いているので、ぜひ活用してみてください。
TOEIC対策コースにもディクテーションのカリキュラムが標準装備されているので、通常のTOEIC学習に必要なカリキュラムに併せて、スコアアップ対策が可能です。
スマホを使って手軽にできる上、何回も反復して復習させてくれるので、多くの利用者がレビューで高評価を載せています。
\7日間無料体験はコチラ/
YouTube(無料オーディオブック・無料ニュース動画)
やはりYouTubeの無料動画は有効活用したいですよね。
ディクテーションに便利なおすすめ動画を紹介します。
字幕付きのオーディオブック
「Audio Book with English Subtitles」のワードでYouTube動画を検索してみてください。
たくさんの英語字幕付きのオーディオブックが出てくるので自分の趣味にあうオーディオブックが見つかるはずです。
難しい時事問題に疲れてきたら、ファンタジーあふれる小説で息抜きしてみるのも楽しいと思います。
不思議の国のアリス
ハリーポッターと賢者の石
英語のニュース動画
アメリカCNNやNBCなどのニュース番組は、世界中でYouTubeを通して見ることができ、私も活用しているディクテーションの勉強方法です。
YouTubeの字幕機能を使ってディクテーションができるので、テキストなどを購入する必要もなく、無料で大量の素材を入手できるのは何よりも経済的です。
時事問題をディクテーションできる上、最新のニュースをチェックできるのは、英語の語彙力アップと世界情勢の情報収集などができるので、大きなポイントでもあります。
TOEICで出てきそうな話題もあるので、ニュースを使ったディクテーションもおすすめです。
基本的にニュースで話されている英語は聞き取りやすく、はっきりと発音されているので、たとえ自動生成の英語字幕しかなくてもかなり正確です。
またイギリスのBBCニュースやオーストラリアのABCニュースなど世界各国のニュース動画も視聴できるので、世界5カ国の主要英語にも慣れることは、TOEICのリスニング対策という意味でもかなり効果があります。
CNN
NBC News
BBC News
ABC News (Australia)
『オンラインではなく直接レッスンが受けたい』というあなたには、ECC外語学院をおすすめします。
大手ECCなら、教室でもオンラインでもどちらでもレッスンを受講できます。
教室は全国に数多くありますので、公式サイトで確認してみてくださいね。
無料体験レッスンは公式サイトから申し込み可能です!
\無料体験はこちら/
最後に
今回が、TOEIC対策に効果のある『ディクテーション』について詳しく解説してみました。
いかがだったでしょうか。
一般的なリスニング&リーディングのTOEICテストにもディクテーションは非常に効果があることがわかりますよね。
英語のリスニング力、ライティング力に加え、語彙力、読解力そして速読力などたくさんの英語のスキルが養われます。
またディクテーションによってかなりの集中力も鍛えられるので、TOEIC高得点獲得には欠かせない勉強方法の一つです。
まずは簡単なものから、興味のある内容で、楽しくディクテーションを始めてみてはいかがでしょうか。
しばらくやってみるだけで効果が表れるとやる気が更にアップすると思いますよ。
■関連記事群■
- 【まずは600点】初心者向けTOEIC勉強手順を筆者(TOEIC860点)が徹底解説(前編)
- 【800点以上を目指そう】TOEIC860点の筆者による初心者向けTOEIC学習手順(後編)
- 【TOEICって意味ない?】スコア900点の私がTOEICのメリット・デメリットを徹底解説
- 【市販教材5冊でOK】TOEIC860点の筆者がおすすめするTOEIC勉強法&参考書
- 【オンライン英会話がTOEIC対策に効果的な理由】TOEIC860点の筆者が徹底解説
- 【スタディサプリTOEICの効果は?】利用してスコア880を取得した僕が徹底解説
- 【TOEICにディクテーションは効果ある?】TOEIC900点の筆者が徹底解説
- 【TOEICにシャドーイングは効果ある?】TOEIC900点の筆者が徹底解説
- 【無料で始めよう】TOEIC860点の筆者がおすすめするTOEIC学習アプリ8選
- 【完全無料】TOEIC860点の筆者がおすすめするTOEIC学習サイト9選
コメント